今年は観察数が少ない「サトキマダラヒカゲ」 |
自宅周辺の雑木林の樹液に群がる「サトキマダラヒカゲ」の姿が、今年は随分少ないような気がします・・・冬の間の天候不順が影響しているのか散歩していても「サトキマダラヒカゲ」の姿をあまり見かけません。
自宅周辺の公園でも、毎年、かなりの数の「サトキマダラヒカゲ」を見ていたのですが、何か変です・・・この「サトキマダラヒカゲ」、私が中学生だったころは、「キマダラヒカゲ」という和名で1種類だったのですが、1970年代になって、当時、静岡県:静岡高校の教諭だった「高橋 真弓」さんが、静岡県周辺の蝶類分類と生態に興味を持ち、=キマダラヒカゲ属=のなかに山地型と平地型があるのに目をつけて、2種類が別種であるとして当時の「日本鱗翅学会」の機関誌に=日本産キマダラヒカゲ属 Neope に属する二つの種について=という論文を発表して日本のチョウ界をアッと言わせたのでした・・・。
これより、「キマダラヒカゲ」が「ヤマキマダラヒカゲ」・「サトキマダラヒカゲ」の2種類になったという快挙になったのでした・・・これも高橋 真弓さんの地道な多数の=飼育実験=そして多数の観察例に基づいたものでしたし、この発表には皆が驚いたのでした・・・。
ややもすると、研究者は、珍種・稀種、或いは外国の新種発見に力を注ぐ方が多いのですが、こうした普通種に目をつけて地道に努力される姿に、私は感銘を受けました・・・。
ごく普通のチョウですが、日本列島特産種であることを知れば、翅裏の模様もなんとなく威厳があるように思えてなりません。
尚、キマダラヒカゲ属の属名:Neope というのは、言葉の並べ替え=アナグラム=だそうで、蛾のEnope Walker 1854 、蝶のEnope Moore 1857から来ているそうです、そして、この=enope=というのは、ギリシャ語で、音・声・鬨(とき)の声・顔・・・という意味だそうです。
また、種名:goschkevitschii =ゴシュケヴィチアイ というのは、北海道:函館で昆虫を採集していたロシア人 「Goschkevitsch」 氏に因んだものだといいます。このロシア人、どういう人だったのか調べてみたい気がします・・・。
*1858年に江戸条約が締結され、ロシアは、北海道:函館に総領事館を設置した。その時の=初代在日ロシア領事=に「ゴシュケヴィッチ」の名前が確認されました。もしかすると、この方が、当該の人物だった可能性があります・・・しかし推論の域を出ません。
2007-6-28 「サトキマダラヒカゲ」 埼玉県:鶴ヶ島市
楽しいお話を有難うございました。
そう言えば今年はあんまり飛んでいません。
母の家の側に、有栖川公園があるのですが、
沢山飛び交いながら、高い梢の上っていく姿を
毎年観察していますが、
今年は群れている姿を見ていません。