民話・鶴の恩返しを思い出す「ソデグロヅル」 |
民間伝承の=鶴の恩返し=という昔話は、小さい時に母親から何回も聞かされていましたが、雪深い里で機織り機械をコットンコットンと織る「鶴」の話は物悲しく小さいながら心に刻まれて育ちました・・・。現在の山形県南陽市というところにこの=鶴の恩返し=の民話を開山縁起とした寺があります、その名を=鶴布山珍蔵寺=といって昔から機織が盛んだったところのようです。明治時代には、特に製糸産業がさかんになって=製糸の里=として知られているようです。
「昔むかし、あったけずまなぁ機織りのほとり ここ新山さ金蔵ってものいだっけど いつだたか宮内のまちがら商いの帰り道、別所あたりで腕白ら大きな鶴一羽いじめったけど、金蔵ございがって財布はだいてその鶴助けたんだと・・・」
真っ白な「ソデグロヅル」の写真を見ると、この夕鶴の里に出て来る=鶴の恩返し=を思い出してしまいます。純白の「ソデグロヅル」にはそんな神聖さを感じてしまいます。この「ソデグロヅル」は日本に稀にやってくるツルですが、世界的に見ても繁殖地が局地的で珍しく、ロシアのオビ川の近くと、北シベリア低地帯の一部でしか繁殖していないようです。2001年の1月に鹿児島県で観察したときには、飛翔する姿も観察しましたが、普段隠れている初列風切羽・雨覆い羽の黒い斑紋がとても綺麗でした。
白くて目立ったのか、この「ソデグロヅル」は、江戸時代前期から知られていたようで、「しろづる」、同じく後期からは、「そでぐろ=袖黒」・「そでぐろづる」・「りゅうきゅうづる」等と呼ばれていたようです。
ソデグロズルという名前は、黒い初列風切羽・雨覆い羽を袖に見立てたのでしょうか。飛翔したときにその隠れていた黒い袖が印象的だったのでしょうね。
鳥は静止している時もいいですが、飛んだときにハッとするときがありますね。以前、ミヤコドリが飛んだときに、その美しさにハッとしたことを思い出しました。
元日のクジャク、ボクがチョウ採りにははまるきっかけとなったチョウです。今年もご紹介戴くチョウへの思いをつづらせていただくこと、お許しください。