「コガモ」 |
いつも散歩している自宅近くの川越市:小畔水鳥の郷公園に冬鳥の「コガモ」がやってきていた、しかし、雄は、未だ=エクリプス=といって、冬羽に換羽する前の個体なので、雌に似ている羽色模様をしています・・・。意外に警戒心が強くて、チョット近づくと、直ぐに逃げてしまいます。
ほぼ、オナガガモと同じような繁殖域で生活しており、冬になるとやってきます、自宅近くでは渡来してきた当初は、調整池に居ますが、次第に小畔川の人の来ない流域に移動しているようです・・・。下の画像は、そうした小畔川で休んでいる雄と雌ですが、雄は上の写真のように換羽前のエクリプスではなく、ハッキリした冬羽になっています。「コガモ」は、奈良時代の頃から「たかべ」の呼び名で知られており、有名な「万葉集」に次のように詠まれています。
「人こがずあらくも著(しる)し潜(かづき)する鴛鴦(おしどり)とたかべと船のうえに住む」
「高山にたかべさ渡り高高にわが待つ君を待ち出でむかも」
いずれも、「たかべ」の名前が詠み込まれており、古き時代から「コガモ」が知られていた事になります・・・。平安時代の「倭名類聚鈔」にも「たかべ」は、「多加閉」と出ており、漢語に多加閉という・・・とあってこの時代にも「たかべ」はあり、どうやら漢語がその語源らしい事がわかります。安土桃山時代には「たかべ」・「こがも」の両方の言葉が見られるようになって、江戸時代に「こがも」が定着したようです。
漢字では「小鴨」・「刀鴨」が用いられ、「刀鴨」の語源としては、江戸時代前期の「大和本草」に次のように記されています。「刀鴨は味最佳、是小鴨、たかべ也・・・」「・・・あぶらを以、刀をぬぐへばさびず(錆ず)・・・」とあって脂ののった「コガモ」が美味であったことが窺い知れます・・・。
まさか、刀の刃先の防錆に使われていたとは・・・随分脂があったのでしょうね。