「ツグミ」と亜種「ハチジョウツグミ」 |
ツグミを漢字で書くと「鶫(つぐみ)」となりますが、この、日本全国にやってくる野鳥だけに、次のような「諺」があります・・・。「つぐみ(鶫)喜べばケラが腹を立てる」=一方が喜んで、他方が怒るさま、=利害対立の様子のこと。
関東地方の茨城県鹿島地方で行われていた「つぐみ猟」のことから出た言葉なのだそうです、つまり、鈎針を使って「ツグミ」を捕らえる猟があったらしいのです。短い竹ざおに糸を結び、その先に鈎針をつけて餌に「ミミズ・ケラ」を使ったので「ツグミ」が喜んで寄ってきたといいます。「野鳥」を魚と同じようにして釣る発想は、ユニークだし、思いついた人も凄いと思います・・・。この猟は、「ツグミ」がやってくる、12月中旬から3月中旬ころまで行われていたと言いますが今ではないのでしょうね・・・。中国大陸から10月下旬か12月上旬ころに石川県の能登半島に渡ってくる「ツグミ」を捕らえることが始まったのは、江戸時代、加賀藩の武士が細い絹糸を使って「天網(てんあみ)」というのを編み、これで「ツグミ」を一網打尽に捕まえたといいます。これが、今では禁止されている「カスミ網猟」の原点なのだそうです。
昭和33年、福井県でつかまった「ツグミ」は、なんと、「44万羽」だったといいますから、「カスミ網」が禁止になったのは適切だったのではないでしょうか・・・。ただ、今でも密猟が多いとかいいますから、嘆かわしいですね・・・。
「ツグミ」の地方名で多いのは、「チョウマ」「チョウマン」「チョウマントリ」「チョコマン」というのが全国的にあり、どうやら意味不明ですが「鳥馬」と書くらしい。
鳴き声からと思われるのが「キーキー」(広島県)、「クワクチュ」(宮崎県)、「クワッチョ」(長崎県・熊本県)などがあるようです。
「ツグミ」の亜種に「ハチジョウツグミ」と言うのが居ますが、お腹の色がツグミに比べてアカっぽいので、地方名では、「チャツグ」とか「アカツグミ」とか「カキツグミ」などと呼ばれているようです。下の画像で比べてください。尚、「ツグミ」は、色彩に個体変異が多いことで知られておりバードウオッチングを始めたころは、随分悩まされました。