ヒオドシチョウ |
有名なアリストテレスは、蝶が完全変態をする・・・卵・幼虫・蛹・成虫・・・になることを知っていたと言います。
また、ヨ-ロッパのフランクフルトでは沢山の=タテハチョウ科=ヒオドシチョウという蝶が蛹から成虫になる時に、鮮やかな紅色の蛹便をしたために、「血の雨が降った」疑いで1296年に大勢の罪のないユダヤ人が10,000人も処刑されたといいます、これは、いわれなき殺人でしょう・・・。
このジャコウアゲハ蛹は、昔から・・・江戸時代の浄瑠璃「番町皿屋敷」を想いだします、この蛹・・・人間が後ろ手に樹に縛り付けられた姿に似ていることから、無体に殺された女中・お菊の亡霊に見立てたものでしょうが、この「お菊虫」おちょぼ口に淡い口紅をつけたお菊にソックリなのに驚かされます。
日本では、「チョウ」のことを古い名で、「カワヒラコ」と言いました。
その語源は、「カワホリノコ」と言って現在でいうコウモリの子供の事であったのではないかと言われています。このことから考えると、大きな黒い色彩のあるアゲハチョウ科の仲間のクロアゲハ・カラスアゲハ・モンキアゲハ・・・などではなかったでしょうか。
「蝶」と言う漢字がかなり古い時代から使われていたことが判ります。
平安時代の末期、「堤中納言物語」の中に虫をこよなく愛した女性の姿が生き生きと描かれています。
通常、女性は、蝶は好きだが、幼虫や蛹は・・・苦手・・・と言う人が多い、とくに、毛が生えているような幼虫の種類は好まない傾向が強い。
この物語は、「虫めずる姫君」とした1編の物語ですが、とても面白い・・・。
今でも、「日本鱗翅学会」の年次総会に出掛けると、女性の参加者が非常に少ない事に気が付きます、虫・・・特に蝶・蛾の仲間は、変態の過程で=毛の生えた毛虫=のある事が原因らしい、また、成虫になっても、毛がパラパラと落ちるのがいけないらしい。まったく、蝶や蛾が可愛そうです・・・。
「虫めずる姫君」も、大納言の娘ということですから、大勢の召使いに命令して庭から毛虫や蝶などを捕まえていたのでしょう。
庭で見つけた毛虫を見て飼育して、「毛虫が思慮深くしているのは奥ゆかしい・・・」などといっていたことが、なんとなく気持ちがわかります・・・。
虫好きでないとこの感覚はないかもしれません。
* 参考文献 「虫の文化史」小西 正泰 著 朝日新聞社 出版
* 「虫の博物史」小西 正泰 著