「イスカ」の嘴(くちばし)は、缶切りのように曲がっていた |
バード・ウオッチングを始めた頃、「図鑑」をペラペラとめくっていて、驚いたことがありました。なんと「イスカの嘴(くちばし)」が上と下がお互いに「交差」していて、普通の小鳥のように真っ直ぐではなかったのです・・・しかも、ピタッと合わないばかりか先端がそれぞれ鋭くなっていたのです。
どうやって、「餌」をついばむのだろうか???長い間、疑問符をつけたまま、時間は過ぎていきました。ある日のことです、山梨県で見られると聞いて、出かけました・・・針葉樹林帯の中を随分探しましたが、観察するどころか、姿を捉えることも出来なかったのです。それから3年程経った1月の中旬頃でした・・・野鳥仲間の先輩から、連絡をいただき、なんと、東京都下に居ると教わったのです。早速、出かけてみました。居ました、図鑑で穴の開くほど見ていた「イスカ」の雄がいたのです。フィールドスコープでジックリ観察してみると、「松ぼっくり」を足でしっかり押さえつけて、あの「嘴」でこじ開けて松ぼっくりの「実」を食べていたのです。
これで、曲がった「嘴」の用途がハッキリしました・・・丁度、缶切りのように先端が鋭く曲がった嘴が松ぼっくりの鱗片・・・鱗(うろこ)のように見える・・・の間にある「松の実」をこじ開けて食べていたのでした。松ぼっくりの全体は、この鱗片で被われた果物のような=果鱗(かりん)=になっていて実が熟すと、開いてくるので、そうしたら「イスカ」たちのご馳走になるのでした・・・しばらくスコープで眺めていました。
嘴(くちばし)の先端が湾曲して交差しています
この「イスカ」、山地の針葉樹林に現れるのだそうですが、その年によって良く観察される年と少なくなる年があるようで、観察は難しそうです。山地では、針葉樹の松ぼっくりや若芽などもついばむそうですが、何の樹種を好むのでしょうか・・・文献を当たったのですがわかりませんでした。